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今回のオスカーで注目となっていたメキシコ監督 仲良し3人組(という古臭い言い回しが似合うほど キュートな人達)のうちの1人、マイケル・ムーア似のGuillermo del Toroの作品である。 スペイン内戦終結後の混乱期を背景にした 全篇スペイン語のファンタジー映画だ。 オスカーでは、「Best Writing, Original Screenplay」 での受賞は逃したが、 個人的には、この部門で入賞して欲しかったと思う。 最近の映画は、脚本で唸らせるものが本当に多いと思うが、この映画でも「そうきたか!」と映画館の 暗闇で膝をたたいたほどに、アイデアと、それの膨らませ方がすばらしい内容だった。 先ほど、ファンタジー映画だと書いたけれど、 果たしてそうなのかというのは観る人によると思う。 ファンタジー映画だと思って観に行ったら内戦の話だったとか、内戦の話だと思って観に行ったらファンタジー映画だったとか、 そういう議論もあるかもしれないが、私の言っているのはそういうことではない。 あの映画の中にあったファンタジーの部分というのは、ものすごくリアルな現実だと思う、ということだ。 世界を井戸(でも大海でも何でも言いのだが) で表すとすると、迷宮に入り込んだオフェリアは井戸の深い場所に生きているのだと思う。 逆に、ゲリラ化して山奥に潜んだ共和国政府軍の 生き残り兵士達や、それを一掃しようとしているフランコ将軍派の兵士達は、井戸の表面のところで生きているのだと思う。 オフェリアにやさしくしてくれる母やメルセデスでさえも表面のところで生きているのだ。 井戸の表面から眺めると、深い場所での出来事は不可思議であり、 深い場所から眺めれば、表面での出来事は理解できないものなのだ。 映画の中では、善玉悪玉がわりとシンプルに描いてあったが、問題は、善とか悪とかいうことではなく、 善玉であれ悪玉であれ、彼らが井戸の表面に生きているということだと思う。 そして、奥深い場所へ降りる方法を忘れてしまったこと、忘れたことにさえ気が付いていないところにあると思う。 そこには、もっともっとリアルな現実、全ての根本が存在するということを忘れてしまったことにあると思う。 「血みどろな内戦の話」と「迷宮や妖精や神話の神様の話」をくっつけることにより、 そして、そのアイデアに加え、血みどろを徹底的に血みどろに描き、 迷宮を徹底的に迷宮に描くその手法や技術により、 そのことが、一枚の鮮やかで力強い絵になって描かれていたと思う。 (2007年3月12日) |
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