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南米の風景、アンデス山脈。 アマゾンの美しく濁った茶、カラフルなポンチョ。 インカ帝国の存在感。 それらにゆったりとした南米音楽のギターの音色、 タンゴやマンボのリズム、 スペイン語のテンポがかぶさる。 背景に流れるのは、人々の日常生活の中に固くこびりついた、貧富の差、圧政、大国による圧力などだ。 しかし、映画を通して感じるのは、 それは決して世界の終わりではなく、 変化の始まりにすることも出来る、ということ。 雄大な自然の包容力と、 個々の人々の持つ力。 革命家「チェ・ゲバラ」に関する本は山のように 出版されているけれど、 その内の幾つかは、象徴化され、崇拝の対象と なっている部分を削ぎ落とすことを目的の1つとしているようだ。 この映画の目的がそれであるかどうかは分からないが、結果として、その役割を果たしているような気がした。 この映画から強く感じたのは、 映画の副題(世界に自分を変えさせよう、そうすれば君が世界を変えられる) 或は、旅の最後にチェ本人が言っていることの (僕は変わった。少なくとも、もう今までの僕ではない。) そうなった根本的な要素が、本人を取り巻く環境 (人間関係)によって作り出されていたのだろうということ。 当たり前と言えば、当たり前の話だが、 そこに注目すると見えてくるものがあるように思う。 家族との関係は映画上はちらっとしか出てこないが、 深く繋がっていたこと、ほぼ溺愛に近い状態で愛されていたことが見て取れる。 それから、いっしょに旅をした友人のアルベルト(Alberto)。 この人の包容力と現実性。 こういうものがあったからこそ、 旅をして変わっていくことが出来、その結果、 革命家となり、そして、最後までその核となる考えを 持ち続けていられたのだろうと思う。 人々に与えつづけて中身の減っていくチェの入れ物に、どんどんストックを入れている人、 或は、いくら出しても底が見えないほどに入れていた人が、たくさんいたのだろう、ということ。 けれでも、このことは、 チェの弱さにもなっているのかもしれないと思った。 映画の中でも言っているが、 「武器なしに革命を成功させることは出来ない」 と言うのが、チェの終始一貫した考えだった。 そして、キューバ革命の第1段階を乗りきった後、 バチスタ政権の側近などを大量に殺害したとされている。 成熟したグループ或は国家として、 武器、軍事力を持つことを重要とする考えについて、 私はその意味がよく分からないでいる。 チェという人は、一度は権力を手中にしながらも、 再び戦場に出ていったという珍しい革命家であり、 人間としての考え方やその行動力、裏表のなさ、 という点は、(もちろん、本人に会ったことはないので、本などで知った範囲で勝手に判断したことだが) 尊重できると思っている。 自分もそうありたい、と言ってもいい。 しかし、この武器に固執する点、目には目をとした点に関しては、どうしても納得がいかない。 どうしてこの人がそう考えるのだろう?と思う。 私自身はこれまで長いこといろいろ考えた末、 自分は平和主義者でいこう、 というところまではきたのだけれど、 でも、軍事力の重要性(或いはその考え方)についてが分からないので、 そこから先に行くことが出来ないでいる。 例えば、戦争反対!と言ってはみても、 空回りしている気がしている。 説得力というものがない。 チェに関する何冊かの本を読み、 そして、この映画を見て、 もしかしたら、と思ったのは、 武器を持とうとするのは、 人間的な弱さからきているのではないかということ。 その原因は、チェに関して言えば、 十分過ぎるほどに愛されていた点にあるのではないかということ。 チェの弱い点はそこからきているような気がした。 おかしな考えかもしれないが、そんな気がしている。 もう少し考えてみようと思う。 ところで、このチェという人は、 キューバで産業大臣などになった後も、 さとうきび畑の刈り入れに出掛けていたそうである。 カストロは当然のことながら、 他の大臣仲間にも「働け!」とけしかけていたらしい。 その精神がうまく伝わったのか、 先日のアイバン(Ivan)騒動の時、 (キューバやアメリカのフロリダ州の周辺を襲ったハリケーン。キューバは何とか大被害を免れたが、 フロリダは大変なことになった。) カストロ議長は自ら天気予報番組に出演し、 天気図を前にハリケーン状況を国民に説明していた。 (2004年10月6日) |
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