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小説を題材にした映画やらドラマが最近(ということもないのかもしれないが)多いと思う。 大抵は先に読んだか観たかしたほうに肩入れしてしまい、そちらのほうが良かったと思いがちだ。 或いは、本のほうが自由な部分が多いからか、 どうしても小説が優ると感じる人もいるのではないかと思う。 とずっと思っていたが、私自身の感じ方が変わったのか、映画の作り方が上手になったのか、 原作の雰囲気を損なわず、尚且つ、(或いはそれ以上に)良いと思うような映画が増えてきたように思う。 「間宮兄弟」は江國香織の小説が元となっており、 私は映画を観るだいぶ前にそちらを読んでいた。 江國香織の小説は、恋愛のからんでいるのはあまり好きではないのだけれど、 そうでないもの、特に子供が主役になっているようなものには素敵なのがたくさんある。 「間宮兄弟」は子供ではないものの、 そんなようなものが主役だからか、 夏の空気の湿って重ったるい感じとか、 セミの鳴き声とか、冷房の埃っぽい匂いがするようなのんびりした本で、とても気に入っていた。 ただ、小説の中では1つ困ったことがあった。 兄弟の兄と弟がどっちがどっちなのかがすぐに分からなってしまうところだ。 主役2人の見分けがつかないというのは重大な問題のような気がするが、 兄弟なだけに名前が似ているし(明信と徹信)、 兄弟なだけにその性格も違うようで似ているし、 膨大な量の好みの一致があったりで、 明信ってお兄ちゃんだったけかな?と前のページを読み返したりというのを何度もした。 それが、映画では、もちろん見た目で分かるというのもあるけれど、 それ以上に、俳優さんの演技によってその微妙な性格の違いが表れていたように思った。 口調とか、こういうことには寛大だとか、 どういうところにイライラするとか、 ちょっとした場面にそれが見え隠れするところがとても面白かった。 映画の中で最も楽しかったのは、その部分を確認することだった。 映画を観た後に小説を読み返すと、映画でのキャラクターが邪魔をして、これまでの雰囲気が台無しになってしまったりすることがあるけれど、 「間宮兄弟」の場合には、それぞれの良かったところを合わせることができるように思う。 映画で足りない部分は小説が補い、小説で足りない部分を映画が補うのだ。 順番に観て読んで、或いは読んで観てとやっていくと延々に楽しめるかもしれない。 ところで、映画の話の内容を大雑把にまとめると、 30を過ぎて独身2人の兄弟がずっと同じ家に暮らしているという設定だ。 何となく気味が悪いが、よくよく付き合ってみると、 実はなかなか楽しそうに、或いは自分達より楽しそうに暮らしているではないか、 と、そんなようなことだと思う。 私には80過ぎの今でも仲良く2人で暮らしている独身の伯母姉妹がいるが、見ていると、確かに楽しそうだ。 もちろん、人間そんなには強くはないから、 世間一般の「形」と少し違っていることは、彼女達や間宮兄弟を幾度となく寂しい気持ちにさせたとは思う。 でも、逆に、伯母姉妹は自分達の姪や甥を大切にしてくれたから、私の両親などは随分と助かったのではないかと思う。 映画の中にしても、誰かとのつながりに対して最も はりきっているのは間宮兄弟のように見えるし、 実際にそうなのだろうと思うけれど、 実はそれに引きづられていろいろな人がそれぞれに助かったように思う。 考えようによっては、私の伯母姉妹や間宮兄弟のような世間の「間」のような存在というのはとても大切なのかもしれない。 矛盾する感想かもしれないが、映画を観ていて(本を読んでいても)ふと思ったことは、 間宮兄弟がやっていることはオットと私が普段やっていることとあまり変わらないということだった。 野球のスコア付けはやらないけれど、 オットも私も映画は好きだから、毎晩のように見ては感想を言い合ったりしている。 映画の中で出てきたセリフが2人の間だけの暗号のようになったり、 贔屓の俳優が同じだったり、そんなようなことだ。 2人の時間を確保することを何よりも大切にしている。 間宮兄弟はそう思う相手がたまたま兄弟であり、 私の伯母姉妹の場合はたまたま姉妹で、 オットのそして私の場合には、たまたま伴侶だった。 ただ、それだけのことだと思う。 それは親子の場合もあるだろうし、友達の場合もあると思う。 何だ、そんなことか、と思う。 世間は無数の「間」によってつながっているのだ。 映画には「間宮兄弟はどこにでもいる」という副題のようなものがついていたけれど、 それはそういう意味なのかと思った。 (2007年1月4日) |
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