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俳優にもいろいろあって、 分かりやすくするために実名を出して説明すると、 例えばトム・クルーズのように、どんな役であっても、 それがトム・クルーズだということが分かる人もいれば(或いは、分からないと意味がないのかもしれない)、 ダニエル・デイ・ルイスみたいに、 俳優自身の影が全く消えてしまう人もいる。 オーウェン・ウィルソンやベン・ステラーなどになると、 毎回必ず同じ演技をすることを期待される。 レイヤー・ケーキの主人公を務めたダニエル・クレイグは、そのどれでもないように思う。 彼が出演した映画では「Road to Perdition」や「Munich」を観たけれど、どれも、 それは明らかにダニエル・クレイグだったと思う。 ただ、明らかなのはその見た目だけで、 中身ははっきりと異なる人物だった。 どういうことかと言うと、歩き方や佇まい、 肩のすくめ方など、どの役でも同じなのだけれど、 同じ人には見えない。ダニエル・ルイスの形をした型に別の人間が入っているように感じるということだ。 佇まいが同じだったら、普通は同じ人に見えると思うのだけれど、なぜそう感じるのだろう? 顔に表情がない(乏しいというより、筋肉が動かない)というところにカギがあるような気がしているが、表情がないのに異なる人物を演じ分けているというのも妙な話だ。 いずれにしても、何か不思議な感じのする人ではある。 映画のほうの印象は、「コミカル」だと思った。 その言葉が今も世の中で使用されているのかどうか分からないが、その表現が一番合うように思う。 話の中心にあるのはドラッグ売買で、 大量の殺人があって、大量のお金が動く。 セブンとポルプ・フィクションを足したくらいの高バイオレンス度である。 登場人物たちに残酷なことをあっさりとやらせたり、 ものすごい境地の中で軽口をたたかせたり、 有り得ないくらい頭を回転させたり、 ただの思い込みカッコつけタイプの映画になるところを、薄紙一重でまっとうなコミカル映画として収めている。セリフの面白さでどんどん駆け抜けていく感じだ。 話があっちこっちと妙な方へ転がっていき、 「仕切りなおし」みたいな雰囲気が流れているのも効果的だと思った。 (2006年8月28日) |
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