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足の不自由な女の子(ジョゼ)と その子に恋した男の子(恒夫)の話である。 DVD屋の店頭で見かけ、 見るたびにいつか観ようと思っていたのを先日ようやっと手に取った。 妙に魅かれ、いろいろなことが頭、 というか心にこびりついて離れなくなってしまった。 一度目は、妻夫木聡の演ずる恒夫がとてもいいなあと思って観ていた。 何だか分からないけれど、 心揺さぶられるものがあった。 私は、この俳優さんのことは、 「何かの映画かドラマで見かけたことがある、 ような気がする」 という程度しか知らず、 名前を正確に発音できるようになったのは、 つい数日前のことだ。 それが良かったのか、或いは、彼自身が恒夫に似ている部分があったのか、 妻夫木聡が演じている恒夫によって、 心を揺さぶられているようだと思った。 他の俳優さんが演じたのでは、ここまでは動揺しなかったのではないかと思う。 2回目を観た時には別の感覚で動揺した。 私は自分では、恒夫が出てくるとうれしくて、 ジョゼになってしまったようになって彼を見ていると思っていた。 が、ふと気がつくと、恒夫になってしまったようになってジョゼを見ている時が随分あった。 どちらかというと、そちらの時間の方が長かったかもしれない。 恒夫の動揺とジョゼの動揺と、 少し違う種類の2つの心の動揺が入れ代わり立ち代り伝染してきた。 恒夫になった時の動揺はオロオロして立っていられない感覚で、 ジョゼになった時の動揺は胸の奥底から這い上がってくる静かな恐怖のような感覚だった。 そして、しまいには、何が何だか分からなくなり、 頭がぼーっと痺れ、物理的に身体が揺れた。 自分の知っている感覚を呼び起こされて、 こんな風に揺すぶられた映画というのは初めてかもしれない。 映画のことを思い起こすと、 今でも条件反射的に頭がぼーっとしてくる。 考えてみると、映画を観ていて、 「泣かせてやろう」とか「笑わせてやろう」とか、 作り手の意思表示のようなものはほとんど伝わってこなかった。 勝手に観て、勝手に動揺していたように思う。 静かに流れる物語の中に、 誰もが持っているようなものが隠されており、 それに反応するかどうかは、 観ている人がどんな経験をしてきたか、 或いは、その日の体調などにもよるのかもしれない。 街を歩いていて、 ふとある歌が流れいるのが耳に入り、 どうしようもなく切ない気持ちに襲われることがある。 たぶん、何か悲しいことがあった時にその歌がいつも流れていたのだろうと思う。 頭はその時に何が起きたのかを思い出せずにいるのに、心が勝手に反応して胸を締め付ける。 そんな感じの映画だったように思う。 (2006年3月24日) |
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