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映画のプロダクションノートによれば、 常磐ハワイアンセンターは昭和41年(1966年)のオープン後、 年間150万人もの人が訪れる超人気スポットだったということだ。 私は子供の頃に、その150万人の1人として遊びに行ったことがある。 当時(昭和40年代後半)、母方の親戚と毎年旅行に出ており、常磐ハワイアンセンターも彼らに連れられて出掛けたのだった。 私はまだ幼くて、数々の旅行のことなど、これっぽちも覚えていないのだけれど、「常磐ハワイアンセンターへ行った」ということだけはハッキリと覚えている。 記憶に間違いがなければ、天井の高い巨大な温室のような空間に、 同じように巨大なプールがたくさんあり、 ピンクのフラミンゴが大量に飼われていたはずだ。 夜には、ステージでフラダンスのショーをやっていた。 これだけ強い印象を子供の私に残したのだから、 観光施設として人を惹きつける何かしらのインパクトがあったはずだが、昭和50年代後半(1980年代)から長い低迷期間に入る。 理由は、施設の古臭さが目立ちはじめたことや、人々が本物のハワイに行くだけの経済力を持つようになったことが上げられる。 けれども、平成2年(1990年)に名称を「スパリゾートハワイアンズ」と改名し、 50億円という多額な事業費をつぎ込んで大改築を行い、再び息を吹き返して現在に至っている。 集客数も年間140万人を超えるところまで回復している。 常磐ハワイアンセンターのある福島県いわき市は、 もともと大規模な炭鉱のあった町で、 町の住民というのは、そのほとんどが炭鉱に関係する仕事で生計を成り立たせていたわけだが、 生活資源としての石炭が石油に取って代わったことで炭鉱を閉鎖せざるを得なくなり、 職を失う住民への石炭に取って代わるものとして考案されたものが、ハワイアンセンターだった。 よって、オープン当事のハワイアンセンターの従業員というのは、大部分が炭鉱に勤めていたいわき市の住民、もしくはその家族だった。 というように、常磐ハワイアンセンターというのは、 オープンの経緯から再び活気ある施設へとよみがえった現在に至るまで、かなりの根性を入れて経営が続けられているようだということが伺われる。 映画はオープンするまでの話が元になっており、 なるほど、そこに根性の源と持続性があったのだな、ということが(結果的に)描かれていた映画だと思う。 炭鉱が閉鎖される云々、職を失う云々の話が背景にあるとなれば、かなり暗く重い部分もあるはずなのだけれど、 映画自体には暗い部分も重い部分も全くない。 ストーリーの中で無視されているわけではなく、 それらはしっかりと入ってはいるのだけれど、なぜか暗くも重くもないのだ。 それは、個々の登場人物がモンペを着ていようが、 顔に炭がついていようが、 家の障子が穴だらけだろうが、 かなりキツい方言があろうが、 その人間性が描かれていないがために、 演じている俳優の現代的で美しい容姿が透けて見えてしまい、 暗さや重さを表現するべきところで表現しきれていないからだと思われる。 それに対し、フラの踊りと流れるハワイアンという明るい要素の部分は、 視覚と聴覚からしっかりと入ってくるので、(暗さに比べて)それが無意識のうちに強調された状態になっている。 それらの洗練されていない明暗のバランスと、そこからかもし出されるアッケラカンさ、適当さ、田舎くささ、勢いで押していくようなものが、 意識的になされたのか、単にそうなっただけなのかは定かではないが、 それは常磐ハワイアンセンター或いは福島県いわき市がもともと持っている性格(もちろん、良い意味で)でもあり、 結果として、映画全体がきちんと常磐ハワイアンセンターになっていた、とも言える。 人間性を全く描写しない(できていない)ことにより、彼らの持つ素性が表され、そこからくる根性の源と持続性がしっかりと描かれていたことになる。 お涙ちょうだいのシーンも数多くあり、 観客の感情を確信犯的にリードする映画だとは思うけれど、 そういうところも含めて、常磐ハワイアンセンター的にいっときのお遊びとして楽しむことが出来る。 そういう意味では、面白い映画だったと思う。 (2007年4月22日) |
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