ホーム << Talking about Movies << バックナンバー << グエムルー漢江の怪物ー (The Host) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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タイトルの左横に付いている★印は、 各映画に関する私の個人的な評価である。 最近になりふと、無意味な評価だなと思った。 なぜなら、私は映画評論家ではないので、 面白かったと思った映画についてしか書かないから、 タイトル横にはいつも星が4つとか5つ付くことになり、結果、何の基準というか目安にもなっていないことに気が付いたからだ。 星を付けるのをやめるか、面白くなかった映画についても書くかしようと、そんなことを考えていたら、 星の数は少ないが(3つ星)書くことがある、 という映画に出くわした。 韓国映画の「グエムルー漢江の怪物ー」である。 ストーリーは韓国の漢江という川に怪物が現れ、 それにさらわれた娘を救おうとする家族の物語、 というようなことになるのだろうと思う。 映画を製作したボン・ジュノ監督は殊更に、 「これは怪物映画ではなく、家族に関する映画です。」ということを強調しており、 確かにそうではあったのだけれど、それはそれとして、やや期待はずれの映画ではあった。 韓国映画は(もちろん、全部ではないが) 全般的に奥深い思想というか思考というか、 そういったものを単純なストーリーの中に埋め込むのが上手く、その思想自体も、 ユニークであったり、角度を少し変えてみたり、 ものごとの捉え方にはいろいろあるんだということだったり、ものすごいチャンレンジだったりと、 その考え方自体には必ずしも賛成できなくはあっても、なるほどなと思わせるもののことが多い。 同監督の映画では、「殺人の追憶 (Memories of Murder)」を観たことがあり、 それがなかなか良かったこともあって、 かなりの期待度で映画館に行ってしまったのがいけなかったようだ。(*1) 家族に関する映画、ということに加えて、 見えないものへの恐れとか、情報にコントロールされる生活とかいうことも描いていると聞いていたので、それをどういう風に怪物とつなげるのかと思っていた。 これは、私の勝手な推測だったのだけれど、 怪物を幻想として扱うのだろうと思っていた。 テレビでたれ流される情報による怪物への恐怖感、 それに付随して発生することへの恐怖感、 人々がどのように、見えないもの(現実には存在しないもの)への恐怖感をつのらせていくのか、ということの経緯を描くのだろうと思っていた。 確かにそれらは描かれていたとは思う。 怪物も(幻想ではなかったけれど)自らが作り出してしまったものということにはなっていたし、 我々の知らぬところでさまざまなことが起きていることとか、そこから出る情報を信じておかしな行動に出る人々の様子、というようなことも描かれていた。 ただ、それは、世の中に物申すのレベルのことでしかなかったと思う。 それらがどこからくるものなのか、ということは描き切れていなかったように思う。 人々の心の奥底にあるものをさらけ出し、 それを引きずり出すようなことを、 この監督ならやってのけるのではないかと思っていた。期待はずれだったというのは、そういう意味合いにおいてである。 監督は家族に関する映画だと言ったのであって、 社会を描いた映画だとは言っていないから、 私の期待は見当はずれなものだったのかもしれない。 それでは、家族についてはどのように描かれていたのか? 全体的には、あまり納得のいく捉え方ではなかった。 私の考える「家族」の定義とは異なっていたということもあるが、意見が違うながらもなるほどと思う、という捉え方でもなかった。 が、最後にきて、あっと思うことになった。 親が娘を娘が娘であるために守りぬこうとしている時に、娘は守らねばならないものを守らねばらないものとして守っていたことに気が付いたからだ。 それは、娘が親の愛を受けていたから出られた行動ということなのか、或いは、人間が持ち合わせている資質ということなのかは分からないが、 血によってつながった愛が激しく描かれている間に、そうでない愛についてもしっかりと描かれていたのだなあと思った。 娘が命がけで作って後に残していった「家族」を親が引き継ぐことになる最後は、ありふれたようでいて、なかなか巧妙に考えられていたようにも感じられた。 そこから流れていく最後のシーンもいい。 あれは人それぞれに捉え方があると思うが、 私は、何ものか分からないものに向かい合おうとする、或いはそれが何なのかを知ろうとする人間の強さというものであると思いたい。 期待はずれとさんざん書いたが、逆に、それがために、観たあとでいろいろなことを考えた映画だったとも言える。 星の数は今後、増えていくかもしれない。 (*1)韓国映画を映画館で観るのは初めてだった。 ちょうど、バンクーバー映画祭をやっており、 そこで上映されていたのである。 ボン・ジュノ監督がふらっと(本当にふらっとという感じで) 現れて挨拶をしていき、すごく得した気分だった。↑ (2006年10月3日) |
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