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別に斜に構えているわけでも何でもないのだけれど、デスノートを観た感想は、本心で、「それほどでもないな」だった。 でも、それは、映画の作りが、ということであり、 ストーリーのアイデアとしてはとても興味深いものだと思う。 キーポイントは2つあって、1つは、映画のタイトルそのままに、「名前を書かれたものは必ず死ぬ」というすごいノートを手に入れた大学生の男の子がいるということ。 そして、彼がそのノートをどのように使っていくのか、ということ。 もう1つは、大量殺人犯として彼を探し出そうとする 名探偵が出てくること。双方ともに、自分こそが正義だと思っているということ。 この2人の頭脳対決みたいなことになる。 サスペンス風ということになっているみたいなのだけれど、ノートを手に入れたのが誰なのかは最初から分かっているし、 それを探し出す名探偵の手の内も全て分かっている。 だから、本当にサスペンス「風」なだけで、サスペンスではないと思う。 それでも「これからどうなっていくのだろう?」と思わせるものがある。 ただ、映画の中では、あまりにいろいろなことがあっさりと開示されていき、ストーリー展開というよりは、謎解きをまとめて行っているように感じてしまう。 人物像もほとんど描き切れておらず、スカスカした安っぽい感じが漂う。(*1) 火曜サスペンス劇場(或いは仮面ライダー)風の仕上がりは、敢えてなのか何なのか? それでも、グズグズにならないのは、やはり原作がしっかりしているからなのだろうと思った。 映画はそれに支えられているだけのように思う。 ここは映画のことを書く場所だから、 本当は話はここで終わるべきなのだけれど、 気になることがあって原作を読んでいる最中なので、そのことを書き加えたいと思う。 どうして、日本の映画というのは、表現の仕方が偏っているのだろう?とよく思う。 映画界全体が偏っているわけではないのだけれど、 雰囲気とか方向性が似ているものが極度な注目を集める傾向にあるように思うのだ。 最近のものでは、「デスノート」がそれに当る。 死とか、そういうものを扱った映画がどうしてそんなにヒットするのだろう? それは単に刺激的な作りなのか、 或いは、何かしらのメッセージが籠められているのか、観ると気持ちが動くようなものなのか。 なぜ皆が一様にそういう撮り方をするのか、 ということが分かる何かがあるのかな?と思って映画を観てみたのだけれど、分かったような分からなかったような、 描いてあったような描いてなかったような感じだったので、原作を読んでみているのだ。 繰り返しになるけれど、映画を観て原作がしっかりしているのだろうと感じたからだ。 結論からすると、原作は予想通りに面白い。 まだ最後まで読んでいないから、途中で感想が変わるかもしれないが、話の展開は映画よりずっと混み入り、 謎解きなのではなく、デスノートの所持者と名探偵のそれぞれの作戦なり考え方なりを読者が把握することにより、話が見えてくるように描かれている。 結果、コミックとしては、1冊を読み終えるのに時間がかかるが、 ストーリーの流れと読者の思考の流れが同じくらいの速度で進んでいくので、頭に染みてくるものがあると思う。 対立する主人公2人(だけではない展開になっていくのだが)や周りの登場人物を随分と丁寧に眺めることになるわけだが、 その誰にも感情移入しずらくなっているのもよく出来ている。 人物像はかなりきちんと描いてあるのに、面白い現象だと思う。 しかし、この効果により、主人公達の頭の良さに引きづられて読み進む中で、 頭の片隅にモヤモヤとしたものが漂い続ける。 読者ひとりひとりが、このモヤモヤをどう処理していくのかというところに醍醐味があるように思った。 テーマ(死)の取扱い方がきちんとしていると思うし、 興味本位になりそうな内容なのに、 読者の感情をリードしないところはとてもいいと思う。 話を戻すと、映画にはそれが欠落していたと思う。 モヤモヤが出てこないがために、単なる火曜サスペンス劇場で終わってしまったのだ。 原作者や監督の意図がどうあれ、 自動的にメッセージが籠められてしまう類のストーリーなだけに、 モヤモヤが出ないことは致命的なように思った。 エンターテイメントとしての映画があるのはいいと思うが、デスノートでそれをやるのはどうかと思う。 せめて、映画で興味を持って原作を読む人がいればと思う。 先ほど書いたように、原作は話が混み入るので、 概略をつかむために映画を観るのはいいと思う。 (*1)ケチョンケチョンに言っているが、 名探偵(L)役の松山ケンイチくんはとても上手かったと思う。 劇中、Lは食生活が偏っていて、お菓子をいつも食べていることになっているが、それらの選択は松山くんが自ら行ったということだ。 お菓子自体やそれが盛られている器の繊細な美しさや、 周りの空気も甘い匂いになっている感じは、 Lの雰囲気を出すのにとても効果的だったと思う。 これは原作にもある描写だが、映画ではかなり高度に活用していたと思う。↑ (2007年3月2日) |
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