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同名の小説を元にした映画である。 原作はミステリーの区分に入るようだけれど、 映画は愛についての話だと思う。 男と女の愛ではなく、人間と人間の愛だ。 私はどちらかというと、 例えば、偉業を成し遂げた人の愛よりは、 それを陰で支えた人の愛に心を動かされる。 しかし、この映画に関しては違った。 それは、アフリカの大地のような愛だった。 何もかもを包み込むと同時に 何もかもを拒絶するような、 どこまでも続くと同時に方向感覚を失わせるような、 肌を焦がす太陽の光のような、 肌を凍らせる夜の寒さのような、 静かで荒々しいアフリカの大地のような愛だった。 その様子に、文字通り、圧倒されてしまった。 舞台はアフリカ。 背景に製薬会社の企業スキャンダルがある。 無料で行われるHIV検査の 本当の狙いは何なのか。 真相を突き止めようとする若い活動家と 外交官であるその夫を中心とする話だ。 スキャンダルの幾重にも複雑に企まれたやり口が 徐々に解き明かされるに従い、 無言の、しかし、荒々しいある愛の様子もまた見えてくる。 印象的なシーンがある。 貧困地区で、生まれたばかりの子供を抱え、 40キロもの道のりを歩いて病院から家まで帰る親子がいる。 子供を産んだ後、その母親は亡くなった。 HIV検査に原因があるとテサは疑っている。 見るに耐えられず、車で彼らを送りたいと夫に頼む。 周りを見渡せば、そこは助けの必要なアフリカの人々であふれかえっている。 でも、今、この場で、 少なくともあの3人に手助けをすることはできる。 テサはそういう風にものを考える。 しかし、結局は、 「もっと現実的になろうよ(Be reasonable)」 という夫の言葉に従う。 夫の言うことが理にかなっていることは分かっているのだ。 活動家テサは世界の全ての人間を1人残らず助け出そうとしているかのようだった。 1人残らず。 親だとか子供だとか、夫だとか妻だとか、 そういう基準では動かない。 目的のためなら手段は選ばない。 使えるものなら何でも使う。 自分の身体や人生さえも道具とする。 時にはウソもつく。 が、ついたウソはつき通す。 そして、結果として、彼女はそのウソを墓場まで持って行った。 テサもまた多くの人に助けられていたと思う。 言うまでもなく、彼女の愛(パッション)だけではモノゴトはうまく運ばない。 と言うより、それはかえってモノゴトの動きをさえぎってしまうことさえある。 しかし、そのパッション自体が動かされた時、 誰かから別の誰かへと動かされた時、 モノゴトは前にすすむのだなと思った。 その現実的ではないものの動きによって、 モノゴトは支えられているのだなと感じた。 テサのパッションを受け取った人がいた。 それにより世界が少し動いた様子が描かれた映画だと思う。 (2006年2月3日) |
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