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話の内容としては、 2027年のロンドンが背景で、そのロンドンは現代 (2007年)のイラクとかのように、 普通の生活の中で爆発が起きたりとか、 戦車が街中を走っていたりとか、 という状態になっている。 人類は生殖機能なくなり、 最後に子供が生まれたのが18年前で、 その貴重な若い子供が(理由はよく分からなかったが)死んでしまったというニュースが大々的に報道されている、というところから話がはじまる。 そういう異常な状況の中、ある1人の女性が妊娠し、 その人をめぐってどうのこうの、、、 彼女は追ってを逃れてどうのこうの、、、 というように話は進んでいくわけだけれど、 たぶん、その話の展開というのは どうでもいいのではないかと思う。 少なくとも、私にはどうでもいいことのように感じられ、それよりも、画面に映る街の様子のほうを真剣に見ていた。 たかだか20年後ということもあるとは思うけれど、 手塚治の鉄腕アトムとか、バットマンとかに見られるような変化の仕方を地球はしておらず、 混乱の中で街が廃墟のようになりながらも、 民家のテレビはやたらと薄く壁と一体化していたり、 オフィスのコンピュータースクリーンは空気中に漂っているように見えたり、 それでも、コーヒーショップの紙コップは今とあまり変わっていなかったりと、 その加減が絶妙でとてもリアルに感じられた。 ここはまぎれもなくロンドンであることを何度も確認させるかのような映像だと思った。 ところが、話が進んでくると、妊娠中の女性とともに、 主だった登場人物達は追ってを逃れるためにロンドンからその郊外に移動するようになり、 逆にそこがイギリス国内であることがだんだんあいまいになってくる。 そのあいまいさは少しずつ少しずつ私の頭の中で広がり、ついには、今現在、中東やらパレスチナやら パキスタンやらで連日繰り広げられている戦場の中にいるような錯覚をおこした。 カメラの目線がふっと変化する場面があった。 主人公達のすぐ近くで誰かが銃で撃たれる音がして、レンズに飛び散った血が付着した。 その瞬間、画面全体が揺れ、まるで、戦場のカメラマンが撮った映像を見ているような感じになった。 その時に変わったのか、或いはその少し前から変わっていたのかもしれないが、 それは本当にリアルに感じられ、あれ?おかしい? カメラが変だと思いながらも、 危ない!とか、怖い!とか、そういう風にしか思えなかった。 あちこちで撃ち合いがあり人々がバタバタと倒れるような状況の中で、 女性が妊娠していることに周りの兵士やら人々が気が付くシーンがあった。 それはカメラの目線が変わった後で、私は自分が戦場にいるような気がしていた時だった。 完全武装した軍隊の先頭に立っていた兵士が大きな声でこう叫ぶ。「Cease fire ! Cease fire !」 つまり、撃つのをやめろ!という命令を出したわけだが、こういう類の言葉が、これほど感動的に聞こえ、胸にしみるものだとは思わなかった。 「Cease fire」という言葉は、 名詞として「休戦」という意味でも使われ、 英語圏では、テレビニュースのヘッドラインなどに ドカーンと出たりする単語だ。 自分がこの言葉をとても聞きたがっていることに改めて気が付いた。 そのシーンは、18年ぶりに、というより、 この先見ることがないかもしれないと思っていた妊婦の大きなお腹を見て、人々が驚きながらも顔をほころばせるという甘いもので、そういうものには、 普段であれば、私は決して泣かないし感動もしない。 が、「Cease fire !」という言葉を発してくれた兵士に感動し、普通の人々以上にうれしそうな兵士達の姿に感動し、やっぱり皆んな本当はこんなドンパチなんかやりたくないんだと思うと、 とにかく何もかもがうれしくて、とても感動した。 この場面は、人々が動きを止めている中を妊婦と仲間が通り、やがてその背後で、 再びドンパチが始まるという風に続いていくのだが、 それは、さっきのことは現実だったのか? 或いはただの夢だったのか? というわりと典型的な問いかけとは分かりながら、 それでも、何でまたドンパチが始まるんだろう? どうして止めたままにできないのだろう? 皆でやれば止めたままにできるのに、 という風に切実に思った。 くそーという感じだった。 戦場は自分の住む地域とつながっていることを実感させ、また、その中に自分を置かさせ、その上で考えさせるということが狙いだったのかどうかははっきりとは断言できないが、もしそうだとすれば、 ロンドンを背景にした始まりはとても効果的だし、 そこからジワジワとここまで持ってくる辛抱強さもすごいと思う。 結末のためではないストーリー作りというのがあるのだなと思った。 「話の展開というのはどうでもいいのではないかと思う。」と先に書いたのはそういう意味でだ。 心の流れ、点ではなく流れを作りだすための2時間弱のストーリだったのだなと思う。 最近は、例えば、白黒つけない映画とか、 結末のはっきりしない映画など、 観客に考えさせる映画が増えてきていると思うけれど、今回のこの映画は、 身体で感じさせ考えさせる映画だったなと思う。 (2007年1月12日) |
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