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2007年9月28日(金)Music and Lyrics
「Music and Lyrics」という今年(2007年)公開された映画がある。
80年代にポップ・ミュージシャンとして一躍スターだった男性が、
現在のスーパー・スターである女性シンガーに曲を作ることになる、
というところから話が始まる。
メロディーは何とか作れたが、そこにのせる詩をどうにかしなければならない。
ピアノの前でうんうん唸っていると、彼の作ったメロディーに合わせて、自宅のプラントを世話しに来てくれているアルバイトの女の子がきれいな詩を口ずさんでいる。
それにピーンときて、彼女を説得して書いてもらうことになるが、
うんたらかんたら、、、というラブ・コメディーである。

その映画の中で、メロディー重視の彼に彼女が言うセリフがある。
メロディーというのは、誰かが誰かに出会ったときの最初のフィーリングであり、
物理的なつながりである。 例えば、セックスとか。
それに対して、詩は2人の物語、奥深くに隠されたもの。
お互いを知り合っていくための手段である。
その2つが結び合うからマジックになる。
というようなことを言う。
そのセリフを言っているのはドリュー・バリモアで、
ピアノの前に座って聞いているのはヒュー・グラントである。
(どちらも好きな俳優ではあるものの)
本来であれば、さらっと見ていていい映画なのだろうけれど、
本質に迫る話を実はしていて、不本意ながらぐっときて涙まで出た。
私には音楽的才能はなく、人生をほぼ詩に頼っている。
自分には、フィーリングとか、動物的な勘でいくようなことが大きく欠けていると思う。
そのことを指摘されたみたいな気分にもなったが、
その一方で、自分が大切にしているものについてを、
ドリュー・バリモア(が演じている女の子)が代弁してくれたような気持ちにもなった。

でも、もう少し何かあるなという感じが残っていた。
何なのかしばらく考えていた。
それが最近読んだ本に書いてあった。
角田光代さんのエッセーで、朝日文庫から出ている「今、何してる?」という本だ。
メロディーというのは、聴いた瞬間にその当時の自分に戻ることが出来る。
曲を聴くと、それをよく聴いていた時のことがあふれ出てくる。
逆に、メロディーを除いた詩を読むと、浮かぶのは当時のことではなくて、
今現在の自分が見ている光景である。
詩は読み手とともに変化する。
というようなことだった。
ここで言う詩は、文章(例えば本とか)全般に置き換えられると思う。
街角で、ふと、昔よく聴いた歌が流れてきて、
何だか分からないけれど胸が苦しくなる、
というようなことは誰でも経験することだと思う。
数年前に読んだ本を読み返して、
全く違う印象を受けることも誰もが経験することだと思う。
その2つを、私はこれまで別々に感じて考えてきたけれど、
並べて見ると、自分というものが、何を求めて、何を大切にしているのか、
ということが分かるように思った。

改めて、自分はメロディーのほうじゃないなあと思う。
ドリュー・バリモア(が演じる女の子)や角田光代さんが言うところの、
それの持つガーッと持って行く強さや魅力は私にはないと思う。
それが出来る人をすばらしいと思いとても憧れる。
それに助けられたこともたくさんある。
これからも助けられていくだろう。
それはそれとして、私は別のやり方でやればいいのだと改めて思う。
詩とか文章の気の遠くなるようなゆっくりとしたやり方だったら、
私にも出来ることがあるかもしれない。
それをコツコツとやっていけばいいのだ。
その当たり前のことを、確認できた感じがした。

ところで、うちのオットはほぼ完璧にメロディー派だ。
ということは、マジックになるのだろうか?
そうだといいけれど。


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