ホーム << ひびのこと << バックナンバー << 2007年5月4日(金)ガイドブック |
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7月にハワイへ行くことになった。 私の住むバンクーバーは、 7月から8月(時には9月)にかけて天国のようなすばらしい天気が続く。 逆に、その頃、ハワイは年間で最も暑い時期となる。 道理にかなっていないようなことになっているわけだけれど、 理由を話しだすと長くなるので、ここでは割愛する。 とにかく、7月にハワイへ行くということで、 ハワイに関する本を集中的に読んでいるところである。 歴史について調べたり、フラについて調べたり、ハワイ語について調べたり、 渓谷のすごいのがあるとか、活火山は必ず見なければとか、 アマゾンにあるみたいな河があるとか、気分はどんどんと盛り上がっている。 こういうことを言うと反感を買うかもしれないけれど、 日本で出版されているガイドブックのほとんどは、 そういう気分を一気に萎めさせる効果があると思う。 私は長年海外に住んでいるわりに語学は得意ではないので、 やはり日本語で書かれたものは便利だと思うのだけれど、 手に取ってパラパラと眺めてるうちに、だんだんと行きたくなくなってくる。 その理由を考えてみて思い当たったことは、 載っている情報が正確すぎるのではないか、ということだ。 例えば、どこそこの博物館の何階の何々いう絵がいいとかいうことが書いてあり、 その横には、その絵の写真が載っていたりする。 どこそこの店で売っている何々が売れているとかいうことが書いてあり、 その横には、その品の写真がもちろん載っている。 お薦めのホテルは星の数順に分類され、写真付きでリストアップされており、 お薦めのレストランも同じ方法でリストアップされている。 ページのほとんどを占めている写真は、 目的の建物や芸術品やランチメニューなど、個々のものに焦点を合わせたものだ。 つまり、カタログみたいなのだ。 これは、旅行記全般にも言えるように思う。 昔は、そういうガイドブックを見ながらでも、 ワクワクとしながら旅の計画をたてていたのだから、 私自身のほうに変化があったのかもしれないが、 もう少し、ぼんやりした感じで書かれているもののほうが 気分が盛り上がるように思う。 私がここ数年活用しているガイドブックはロンリープラネット社のものだ。 最近は日本語版も出るようになっているから、かなり人気があるのだろうと思うが、 このシリーズはなかなか読みごたえがある。 調べる、というより読むという感じに近い。 ホテルのこと、食べ物のこと、交通手段のことなど、 項目別にはなっているものの、 項目内ではひたすらダラダラと説明が続く仕組みになっている。 写真もほとんどなく、時々あっても(200ページに1ページの割合くらい) ドデーンとした山の写真だったり、海辺の夕焼けの写真だったりする。 ところが、博物館の説明、ホテルの説明ひとつを取っても、 著者の視点から描写されたそれらは、 小説を読むかのように頭の中で形が作られていくのだ。 博物館から出て、海辺までの道を散歩する様子まで想像でき、 左の方には大きな山があり、潮の香りと山の緑の匂いが入り混じっている。 それはもちろん、私が作り上げた博物館なりホテルだから、 現地に行ってみたら思っていたのとは全然違っていて、 もちろん、海も山も博物館の近くにはなかったりするわけで、 目の前にあったそれを通り過ぎてしまい探しあてるのに何時間もかかった、 などということはあるわけだけれど、それはそれでまた醍醐味のひとつとなる。 もちろん、行き先によって著者が異なるから、 ものすごく面白く読めるときもあれば、ちょっと外れることもある。 これまで読んだロンリー・プラネット社のガイドブックの中では、 アメリカのSouthwestを扱ったものがとても面白かった。 ハワイの場合には、諸島全てを網羅する総合版では 複数の人による共著になっているが、 私とオットが今回行こうとしているハワイ島版(The Big Island)とカウアイ島版では、 ルーシー・ヤマモトという、ハワイ島生まれの女性による執筆になっている。 冒頭に紹介されている彼女の経歴をみてみると、 アメリカ本土のバークレーで法律を学んだ後、そのままカリフォルニアに残り、 現在はフリーランスのライターとして生活をしているということだ。 カリフォルニアのバークレーというのは、 かなりリベラルな雰囲気を持った 興味深い大学街で、私は非常に好きなところだ。 ガイドブックはまだ読み始めていないのだけれど、 ローカルの目と(ほとんど)侵略者であるアメリカ人の目と、 その中の1つの目としてのバークレーの目とを持つルーシーさんを通して、 どんな風に書かれているのだろう。 何も調べずに、ふらっと出掛けるバックパックというのもやってみたいと思うのだけれど、性格上、ついついいろいろなことを調べてしまう。 歴史や文化については調べられるかぎり調べ、実際にその土地へ行き、 1本の木を眺めながら、海からの風を感じながら、 或いは、空に浮かんだ雲を眺めながら、 現在の、そして何年か何十年か何百年か前に営まれていた当時の人々の営みを 感じたりするのがとても好きなのだ。 ガイドブックとして、旅行者への必要最小限の情報を提供しながらも、 そうした隙間のようなものも残しておいてくれるモノというのが、 (少なくとも私にとっては)非常に優れた製品だと思う。
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